音波を使った海上での位置情報取得技術は、水中に音波を発信してその反射波を計測することにより、自分の位置を特定する技術です。この技術は「音響測位」とも呼ばれ、海上での船舶や潜水艦の位置特定や、沈没船の捜索などに広く活用されています。

音波は水中でも伝播するため、水中に音波を発信してその反射波を計測することで、自分の位置を特定することができます。この計測には、音波を発信する送信機と反射波を受信する受信機が必要です。

音波測位には、多くの種類の機器がありますが、代表的なものには「超音波測位システム」や「アコースティックビーコン」があります。

超音波測位システムは、船舶や潜水艦が発信する超音波信号を受信することで、位置情報を特定する技術です。

アコースティックビーコンは、海底に設置された音波発信機から発信される音波を受信することで、自分の位置を特定する技術です。

また、GPSや地上局との通信が困難な場所で、音波測位が有用な技術となります。例えば、沈没船の捜索などには、音波測位が有用です。沈没船の場合、GPSや地上局との通信が困難であり、音波測位により位置情報を特定することができます。

UGPSとは?

UGPS(Underwater Global Positioning System)は、水中での位置情報の精密な取得およびナビゲーションに使用される技術です。UGPSは、陸上や水面のGPS(Global Positioning System)が陸地や水上の位置情報を提供するのと同様に、水中の物体や機器の位置情報を提供することを目的とします。UGPSは、水中探査、海洋調査、水中ロボット、潜水艇、水中掘削などのさまざまなアプリケーションで使用されています。

UGPSは、主に以下の方法を使用して水中での位置情報を取得します:

  1. 音響位置システム:音響信号を使用して、水中の物体までの距離と方向を測定する方法です。水中の送信機と受信機を使用し、音響信号の伝播時間や方向を基に位置を計算します。
  2. インマーション・センサーシステム:水中の物体に搭載されたセンサーを使用して、物体の姿勢や位置を計測します。これらのセンサーは水中の磁場、圧力、加速度、角速度などの情報を取得します。
  3. 地磁気センサー:地磁気フィールドを利用して水中での位置情報を推定します。これは、水中での方向を特定するために使用されます。

UGPSの応用範囲は広く、海洋学、油田探査、水中建設、海洋調査、水中掘削、環境監視、および防衛など多くの分野で重要です。UGPSは、水中のリモート操作可能な機器や探査機器の効率的な運用を支援し、水中環境における科学的な調査や資源開発に貢献しています。

USBLとは?

USBL(Ultra Short Baseline)は、水中無人機(ROV)や自動潜水艇(AUV)の位置情報を測定するシステムです。船上にある送受信機とROVやAUVに搭載されたトランスポンダーを使って、音波の往復時間を測定し、位置を計算します。

USBLを使った位置情報測位は、次の手順で行われます。

  1. 船上にある送受信機から音波を発信します。
  2. 音波は水中を伝播し、ROVやAUVに搭載されたトランスポンダーに到達します。
  3. トランスポンダーは音波を反射します。
  4. 反射音波は送受信機に到達します。
  5. 送受信機は音波の往復時間を測定し、ROVやAUVの位置を計算します。

用途としては、ROVやAUVの航行制御、水中地形の調査、水中生物の観察などがあり水中での作業をより効率的にさせます。

USBLを用いた位置情報測位は、水中無人機(ROV)や自動潜水艇(AUV)の位置を正確に把握するために欠かせない技術です。USBLを使った位置情報測位は、ROVやAUVの安全性と効率性を向上させ、水中での作業をより安全に行うことができます。

DVLとは?

DVL(Doppler Velocity Log)は、水中無人機(ROV)や自動潜水艇(AUV)の速度を測定するセンサーです。水中にあるソナープローブから出る音波の周波数変化を測定し、そこから速度を算出します。DVLは、ROVやAUVの航行制御、水中地形の調査、水中生物の観察など、さまざまな用途に使用されています。

DVLを使った位置情報測位は、次の手順で行われます。

  1. ROVまたはAUVがソナープローブから音波を発信
  2. 音波は水中を伝播し、海底や障害物に反射
  3. 反射音波はROVまたはAUVに受信
  4. 受信した音波の周波数変化から、ROVまたはAUVの速度を計算
  5. ROVまたはAUVの現在の位置と速度をGPSやINS(Inertial Navigation System)などの他のセンサーの情報と組み合わせることで、より正確な位置情報を取得

DVLを使った位置情報測位は、GPSやINSなどの他のセンサーに比べて、精度が高く、障害物に影響されにくいというメリットがあります。そのため、ROVやAUVの航行制御や水中地形の調査など、精度が重要な用途に使用されています。

UGPS・USBL・DVLの違い

USBL(Ultra Short Baseline)とDVL(Doppler Velocity Log)はどちらも、水中無人機(ROV)や自動潜水艇(AUV)の位置情報測位に使用される技術です。しかし、両者にはいくつかの重要な違いがあります。

USBLは、船上にある送受信機とROVやAUVに搭載されたトランスポンダーを使って、音波の往復時間を測定し、位置を計算します。一方、DVLは、水中にあるソナープローブから出る音波の周波数変化を測定し、そこから速度を算出します。

また、USBLはDVLに比べて精度が高いというメリットがありますが、DVLに比べて複雑なシステムであるためコストがどうしても高くなります。

一般的に、USBLは精度が重要な用途に使用されます。一方、DVLはコストが重要な用途に使用されます。

USBLDVL
原理音波の往復時間を測定音波の周波数変化を測定
精度高い低い
システムの複雑さ複雑簡易
コスト高い安い
用途精度が重要な用途コストが重要な用途
USBLとDVLの比較

UGPSは水中での位置情報取得の総合的なアプローチで、音響位置システム(USBLを含む)や地磁気センサーなどの技術を組み合わせて使用されます。USBLはUGPSの一部で、相対的な位置情報を提供します。一方、DVLは速度ベクトルの計測に使用され、絶対的な位置情報を提供しません。

まとめ

音波を使った海上での位置情報取得技術は、水中でも伝播するため、GPSや地上局との通信が困難な場所で有用です。海洋開発や航海安全の分野で広く活用されており、今後もその活用が期待されます。

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